はじめに:2ヶ月半で2000kmの成果と気づき
12月から始めた自転車通勤が、2ヶ月半で2000kmに達しました。毎日34kmの通勤を続け、バーチャル日本一周企画も順調に進行中。体重は安定し、100kmのロングライド(小田原や江の島方面)もこなせる体力を維持しています。
70歳でこれだけ走れることに満足していた矢先、ある変化に気づきました。
自転車のスピードが、明らかに遅くなっている。
以前は30km/hで巡航できたのに、今は20km/hを維持するのも厳しい。特に坂道での失速が顕著です。
これは単なる加齢現象なのか?それとも、トレーニング内容が原因なのか?
この疑問を解き明かすため、私の50年間の体の変化を振り返りながら、速筋と遅筋の関係について考えてみました。
50年間の体の変化:速筋から遅筋への転換
高校時代:中距離選手の太い太もも
高校時代、私は800mと1500mの中距離選手でした。当時の太ももは筋肉でパンパン。ズボンを履くのも一苦労するほど太く、力強い脚でした。
この太い筋肉こそが「速筋」です。
速筋(白筋)の特徴:
- 瞬発力に優れる
- 短時間で大きな力を発揮
- 太く、目立つ外見
- グリコーゲンを燃料とする
- 疲労しやすい
- 無酸素運動で主に使用
中距離走、スプリント、坂道ダッシュなど、「短く強く」動く運動で発達します。
大学時代:長距離転向で足が細くなった衝撃
大学に入り、5000mやマラソンなど長距離種目に転向しました。すると、あれだけ太かった太ももがどんどん細くなっていったのです。
最初は「筋肉が落ちている」と心配しましたが、タイムは向上していく。これが「遅筋化」だったと、今になって理解しました。
遅筋(赤筋)の特徴:
- 持久力に優れる
- 長時間動き続けられる
- 細く、目立たない外見
- 脂肪を燃料とする
- 疲労しにくい
- 有酸素運動で主に使用
長距離走、サイクリング、水泳など、「長く続ける」運動で発達します。
50代:ロードバイク全盛期のバランス
50代の頃、毎日往復40kmの自転車通勤をロードバイクでこなしていました。当時の最高速度は60km/h。他のサイクリストとのバトルでは、最終的に必ずちぎって走れる自信がありました。
今思えば、この時期は速筋と遅筋のバランスが良好だったのでしょう。
毎日の通勤で持久力(遅筋)を鍛えつつ、バトルや坂道アタックで速筋も刺激していた。意図せず、理想的なトレーニングになっていたわけです。
70代:クロスバイクで気づいた明確な変化
現在70歳。クロスバイクで毎日34km通勤。
頑張っても最高速度は40km/h。坂道が特にきつく感じます。
「クロスバイクだから?タイヤが太くて重いから?」
もちろんそれも要因の一つでしょう。しかし、より大きな要因は筋肉の質的変化だと考えています。
なぜスピードが落ちたのか:科学的考察
要因1:毎日の長距離=完全な遅筋トレーニング
2ヶ月半で2000km。毎日34kmを、ほぼ一定のペースで走り続ける。
これは完全に「遅筋トレーニング」です。体は環境に適応します。長時間の有酸素運動を続ければ、体は持久力に特化していく。つまり:
- 遅筋が発達する
- 速筋は使われないため衰える
- エネルギー代謝が持久型に最適化される
高校から大学時代に経験した変化が、再び起きているわけです。
要因2:70代という年齢要因
科学的データによれば、加齢に伴う筋肉の変化は避けられません:
- 速筋繊維の減少: 年間1-2%程度減少(30代以降)
- 最大心拍数の低下: 220-年齢が目安(私の場合、最大約150bpm)
- 回復時間の延長: 筋肉修復に若い頃の1.5-2倍の時間
- テストステロン減少: 筋肉合成能力の低下
ただし、朗報もあります。持久力(遅筋)は80代まで維持可能という研究結果があります。適切なトレーニングを続ければ、有酸素能力は大幅に維持できるのです。
要因3:機材の違い
50代:ロードバイク(軽量、細いタイヤ、前傾姿勢)
70代:クロスバイク(やや重い、太いタイヤ、アップライト姿勢)
機材の差も無視できません。同じ出力でも、ロードバイクの方が5-10km/h速く走れます。
総合判断:主因は遅筋化、年齢と機材は副因
スピードダウンの主な原因はトレーニング内容による遅筋化。年齢要因と機材の違いは副次的な要因と考えられます。
つまり、トレーニング内容を変えれば、ある程度の改善は可能かもしれません。
私の決断:持久力を選ぶ理由
退職後の夢:日本一周サイクリング
私の夢は、退職後に本当の日本一周サイクリングをすることです。今のバーチャル日本一周(目標8000km)は、その準備でもあります。
そこで考えました。日本一周に必要な能力は何か?
必要なもの:
- 毎日100-150kmを数十日走り続けられる持久力
- 景色を楽しむ心身の余裕
- トラブル対応できる体力の余裕
不要なもの:
- 最高速60km/hで走る瞬発力
- 他者とバトルで競う速さ
つまり、現在進行中の遅筋化は、日本一周に最適化されつつあるとも言えます。
70代で優先すべきこと
- 怪我なく続けられること(最優先)
- 楽しさ・充実感を味わうこと
- 記録・パフォーマンスは二の次
50代のバトル全盛期は楽しかったけれど、70代は違うフェーズ。スピードより継続、瞬発力より持久力を重視する時期です。
スピードダウンは悲しいことではなく、体の賢明な適応なのです。
それでも速筋を少し維持する工夫
完全に諦めるのも悔しい。そこで、無理のない範囲で速筋を刺激する方法を取り入れることにしました。
方法1:週末の坂道ライド(新たに開始)
計画:
- 頻度:週1回(土曜または日曜)
- 時間:30-40分程度
- 場所:箱根や丹沢方面の景色の良い坂
- 強度:無理せず、心拍数が少し上がる程度
- 目的:速筋刺激+新ルート開拓の楽しみ
坂道は自然と高負荷がかかるため、速筋を刺激できます。ただし、あくまで「楽しむ範囲」で。
方法2:週1回のテニス(継続中)
すでに週1回、息子とテニスをしています。これが実は最高の速筋トレーニング:
- 短距離ダッシュ
- 瞬間的な方向転換
- ストップ&ゴーの繰り返し
4月にはフィリピン・シキホール島の恩師との再会も控えているため、これは絶対継続します。
方法3:通勤の一部にミニ・インターバル(検討中)
週1-2回、通勤の一部(10-15分程度)で「信号間だけ頑張る→次は普通」を繰り返すインターバル。
ただし、毎日やらない。疲労を感じたらスキップする。あくまで「遊び」として。
避けるべきこと
❌ 毎日高強度で走る(回復が追いつかない)
❌ 若い人とのバトル(怪我リスク大、エゴの罠)
❌ 記録更新へのこだわり(プレッシャー→無理→怪我)
1ヶ月後の実験結果を報告予定
この「週末坂道ライド」を1ヶ月続けて、どんな変化があるか実験します。
検証項目:
- 平均速度の変化(iGS630Sで計測)
- 最高速度の変化
- 坂道での体感(きつさの軽減?)
- 疲労度・回復時間
- テニスのパフォーマンスへの影響
1ヶ月後、続編記事で結果を報告します。
70歳でどこまで速筋を取り戻せるのか、私自身も楽しみです。
まとめ:年齢に応じた賢明な選択
2ヶ月半で2000km。スピードは落ちましたが、長距離を楽しめる体を手に入れました。
これが70代の正解だと思います。
速筋・遅筋の科学を理解し、年齢を受け入れ、でも適度な挑戦も忘れない。体の変化を「劣化」ではなく「適応」と捉える。
50代の私は60km/hで走れたけど、70代の私は毎日34km走り続けられる。
どちらが優れているわけではなく、それぞれの年齢に応じた楽しみ方がある。
退職後の日本一周という夢に向けて、今の私に必要なのはスピードではなく、怪我なく長く走り続けられる体。
そのための遅筋化は、むしろ歓迎すべき変化なのかもしれません。
【次回予告】
1ヶ月後:「70歳が坂道トレーニング1ヶ月やってみた結果—速筋は復活するのか?」
実験的な挑戦の結果を、データとともにお届けします。お楽しみに!
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